新たな世界へ
2010年 05月 20日
☆旧友たち
時が満ちようとしている。
完美世界に生をうけてから89年を迎えようとしている刀匠カナンである。
この89年という年月の中で、カナンは刀匠としての修行の日々を過ごし、また多くの仲間とともに冒険の数々をこなしてきた。
北から南まで世界中のいたるところに足跡を残してきたカナンであるが、未だ足を踏み入れていない場所がある。
魔界と仙界である。
この世界では、魔界と仙界へ行くためには、転生という儀式を済ませる必要があるのだ。
そして、この転生の儀式を迎えることのできる年齢が89歳なのである。
カナンは先日89歳を迎えたばかりであり、今まさにこの儀式に臨もうとしていた。
この儀式のために必要なアイテムは「ブラフマの鍵」「ブラフマの遺書」「鬼霊の魔火」の3つであり、これらを得るためには未知のダンジョン「仙幻の森」へ行く必要があるのだ。
仙幻の森は非常に危険な場所である。この世界の北の果てのダンジョンに広がる魔物の森であり、非常に危険なため単独では行ける場所ではない。
「仲間を集めなくてはならないな・・・来てくれるだろうか?」
かつて共に冒険をしてきた仲間達とはそれぞれ思うところが異なり、80歳のときに袂を分かったのであるが、戦いの中で培った固い絆は今でもあるとカナンは信じている。
まず、盟友ともいえる戦士ヴェルグ、彼女は既に転生を済ませ、愛弟子の紗音、バーサーカーとともに、新たなギルドを率いているはずだ。
そして仲の良い2人の精霊、黄金の魔女とアズラエルは、今現在でも交友があり、必ずや良い返事がもらえるであろう。
海龍族の暗殺師イゼ、彼とは最近知り合ったばかりだが、何度か共にクエストを行っており、快く協力をしてくれるであろう。
残る一人は、鍛冶技術や製薬技術を教えるため、今カナンが客人として迎えられているギルドのマスターであるザンクロウに依頼すればいいだろう。
数日後、カナンは仙幻の森の情報を聞くため、食宝獣のところにいた。
「汝、仙幻の森へ行くのか?なれば、これから儂のいうことを聞いておくが良い。彼の森には3体の魔獣がおる。まず倒さなければならんのは、エスピリットじゃ、大猿の化け物でブラフマの鍵をもっておる。
その次に、ラポーザという九尾の狐の化け物じゃ。こいつがブラフマの遺書をもっておる。
この2体を倒して、最後にブラフマを倒す必要がある。ブラフマはラクダに乗った首なしの武者の魔物じゃ。これを倒すと転生の儀式に必要な鬼霊の魔火を得ることができる。
ただ、この3体の魔物は極めて強大なやつらであるから、信頼のおける仲間とともに行くとよいだろう。お前さんたちの本当の力が試されるのだ。心して行くがよい。」
食宝獣の話を聞いた後、カナンは装備の準備を始めた。
法器は今所持している「夜の法剣」よりも性能の高い「鎮魂の法剣」を新たに作成した。
防具にはソケット数を増やし、ルビーを12個から16個とした。
装飾品もより防御力の高い「天魔の珠玉」や「ゴーストタリスマン」を作成した。
各アイテムの精錬も2段階から1段階増やし、全ての装備品を3段階とした。
丹薬も、十分な量を確保した。準備は万全である。
☆剣戟乱舞
魔戦士ヴェルグが魔力を爆発させながら、か細い腕にはおよそ不釣り合いな強大な爪で叩き付ける。これに合わせるかのように戦士ザンクロウはドラゴンバーストを放ちながら斧を振り下ろす。そして暗殺師イゼの研ぎ澄まされた双刃は、信じられない速度で敵を切り裂いていく。
絶え間ない剣戟の音とともに、精霊たちの多彩な魔法攻撃が強力な法器により増幅され目映い光のシャワーのように敵に降り注ぐ。
先ほど組まれたばかりのパーティとは思えないほどの見事な連携である。
最初の敵エスピリットは、カナン達の目の前で為す術もなく崩れ落ちていった。
「まずは、上出来ね。」ヴェルグが呟く。
次なる敵のラスポーザは、小高い丘の上にいて、周囲には多数の危険な魔物がいるため、安易に斬りかかると、非常に危険である。
安全にBOSSだけを叩くためには、BOSSだけをこちらに連れてくる必要があるのだ。
「私の出番だな」
カナンは、ペットであるシータイガーを召還し、ラスポーザに向かわせる。シータイガーが敵に一撃を入れた刹那に召還を解除すると、ラスポーザはカナンに向かって攻撃を仕掛けてくる。「釣り」と呼ばれるスキルである。
カナンを攻撃しようとするラスポーザへヴェルグが素早く一撃を加え、ラスポーザの攻撃対象を自らに向けさせる。
あとは、先ほどと同様に無数の剣戟と魔法で殲滅するのみである。
「この調子なら、結構楽勝かもね。」黄金の魔女が笑みを浮かべている。
最後の敵であるブラフマは、もっとも危険な相手である。デバフによる防御力低下の攻撃をしてくるため、防御力の高い戦士達でさえ、油断すると倒されてしまうおそれがある。
更にブラフマのいる場所は、地表から標高差のある高い丘にあるため、通常のペットによる「釣り」ができないのだ。
このため、カナンはまず、丘の中腹からペットを敵に向かわせ、魔物の注意を自分に向けさせる。そのあとは魔物のタゲが切れないよう、自らを魔物に攻撃させながら、戦士達の待つ丘の下へ魔物を誘導するのだ。
このような釣りを何度か繰り返した後、ブラフマだけになったことを確認すると、パーティメンバー全員による攻撃が行えるようになる。
今パーティの目前にブラフマがいる。真っ赤な閃光とともにヴェルグが斬りかかる。ザンクロウとイゼの剣戟がこれに呼応するかのように煌めく。
精霊たちは、魔法攻撃のほかに、戦士達のヒールも行っている。これまでの敵よりも数段強い相手である。しかし、カナン達の連携のとれた攻撃により数分後にはブラフマは倒れ、カナンは「鬼霊の魔火」を手にしていた。
「皆のおかげで、必要なアイテムを得ることができた。本当にありがとう。」
カナンは、うつむきながら旧友達にお礼の言葉をかけた。ほんの少しだが、カナンの頬を伝う涙を彼らは見て見ぬふりをして、仙幻の森から立ち去っていった。
☆転生
カナンは鬼霊の魔火を持ち、万界城のネスラードのもとにいた。戦いの経過を報告し、ネスラードに鬼霊の魔火を渡すと、ネスラードから転生が宣言された。
転生といっても身体そのものに劇的な変化はない。しかし今カナンは転生を果たし、魔界、仙界へ行く資格を得ることができたのだ。
儀式というには、あまりにも簡易に見えるものであるが、この世界に住む者にとって、新たな世界へ向かう手形を与えられる重要な営みなのである。
「では、まず魔界へ行ってみるか。新たなクエスト、冒険が待っているのであろう。楽しみなことだ」
そう呟くと、カナンは愛用の騎乗ウィンドパンサーにまたがり、魔界の門をくぐっていった。
カナンの旅はここで一段落です。しかし転生という節目により新たな展開を迎えることとなるかも知れません。(と思うけど、あんまり期待しないでねw)
時が満ちようとしている。
完美世界に生をうけてから89年を迎えようとしている刀匠カナンである。
この89年という年月の中で、カナンは刀匠としての修行の日々を過ごし、また多くの仲間とともに冒険の数々をこなしてきた。
北から南まで世界中のいたるところに足跡を残してきたカナンであるが、未だ足を踏み入れていない場所がある。
魔界と仙界である。
この世界では、魔界と仙界へ行くためには、転生という儀式を済ませる必要があるのだ。
そして、この転生の儀式を迎えることのできる年齢が89歳なのである。
カナンは先日89歳を迎えたばかりであり、今まさにこの儀式に臨もうとしていた。
この儀式のために必要なアイテムは「ブラフマの鍵」「ブラフマの遺書」「鬼霊の魔火」の3つであり、これらを得るためには未知のダンジョン「仙幻の森」へ行く必要があるのだ。
仙幻の森は非常に危険な場所である。この世界の北の果てのダンジョンに広がる魔物の森であり、非常に危険なため単独では行ける場所ではない。
「仲間を集めなくてはならないな・・・来てくれるだろうか?」
かつて共に冒険をしてきた仲間達とはそれぞれ思うところが異なり、80歳のときに袂を分かったのであるが、戦いの中で培った固い絆は今でもあるとカナンは信じている。
まず、盟友ともいえる戦士ヴェルグ、彼女は既に転生を済ませ、愛弟子の紗音、バーサーカーとともに、新たなギルドを率いているはずだ。
そして仲の良い2人の精霊、黄金の魔女とアズラエルは、今現在でも交友があり、必ずや良い返事がもらえるであろう。
海龍族の暗殺師イゼ、彼とは最近知り合ったばかりだが、何度か共にクエストを行っており、快く協力をしてくれるであろう。
残る一人は、鍛冶技術や製薬技術を教えるため、今カナンが客人として迎えられているギルドのマスターであるザンクロウに依頼すればいいだろう。
数日後、カナンは仙幻の森の情報を聞くため、食宝獣のところにいた。
「汝、仙幻の森へ行くのか?なれば、これから儂のいうことを聞いておくが良い。彼の森には3体の魔獣がおる。まず倒さなければならんのは、エスピリットじゃ、大猿の化け物でブラフマの鍵をもっておる。
その次に、ラポーザという九尾の狐の化け物じゃ。こいつがブラフマの遺書をもっておる。
この2体を倒して、最後にブラフマを倒す必要がある。ブラフマはラクダに乗った首なしの武者の魔物じゃ。これを倒すと転生の儀式に必要な鬼霊の魔火を得ることができる。
ただ、この3体の魔物は極めて強大なやつらであるから、信頼のおける仲間とともに行くとよいだろう。お前さんたちの本当の力が試されるのだ。心して行くがよい。」
食宝獣の話を聞いた後、カナンは装備の準備を始めた。
法器は今所持している「夜の法剣」よりも性能の高い「鎮魂の法剣」を新たに作成した。
防具にはソケット数を増やし、ルビーを12個から16個とした。
装飾品もより防御力の高い「天魔の珠玉」や「ゴーストタリスマン」を作成した。
各アイテムの精錬も2段階から1段階増やし、全ての装備品を3段階とした。
丹薬も、十分な量を確保した。準備は万全である。
☆剣戟乱舞
魔戦士ヴェルグが魔力を爆発させながら、か細い腕にはおよそ不釣り合いな強大な爪で叩き付ける。これに合わせるかのように戦士ザンクロウはドラゴンバーストを放ちながら斧を振り下ろす。そして暗殺師イゼの研ぎ澄まされた双刃は、信じられない速度で敵を切り裂いていく。
絶え間ない剣戟の音とともに、精霊たちの多彩な魔法攻撃が強力な法器により増幅され目映い光のシャワーのように敵に降り注ぐ。
先ほど組まれたばかりのパーティとは思えないほどの見事な連携である。
最初の敵エスピリットは、カナン達の目の前で為す術もなく崩れ落ちていった。
「まずは、上出来ね。」ヴェルグが呟く。
次なる敵のラスポーザは、小高い丘の上にいて、周囲には多数の危険な魔物がいるため、安易に斬りかかると、非常に危険である。
安全にBOSSだけを叩くためには、BOSSだけをこちらに連れてくる必要があるのだ。
「私の出番だな」
カナンは、ペットであるシータイガーを召還し、ラスポーザに向かわせる。シータイガーが敵に一撃を入れた刹那に召還を解除すると、ラスポーザはカナンに向かって攻撃を仕掛けてくる。「釣り」と呼ばれるスキルである。
カナンを攻撃しようとするラスポーザへヴェルグが素早く一撃を加え、ラスポーザの攻撃対象を自らに向けさせる。
あとは、先ほどと同様に無数の剣戟と魔法で殲滅するのみである。
「この調子なら、結構楽勝かもね。」黄金の魔女が笑みを浮かべている。
最後の敵であるブラフマは、もっとも危険な相手である。デバフによる防御力低下の攻撃をしてくるため、防御力の高い戦士達でさえ、油断すると倒されてしまうおそれがある。
更にブラフマのいる場所は、地表から標高差のある高い丘にあるため、通常のペットによる「釣り」ができないのだ。
このため、カナンはまず、丘の中腹からペットを敵に向かわせ、魔物の注意を自分に向けさせる。そのあとは魔物のタゲが切れないよう、自らを魔物に攻撃させながら、戦士達の待つ丘の下へ魔物を誘導するのだ。
このような釣りを何度か繰り返した後、ブラフマだけになったことを確認すると、パーティメンバー全員による攻撃が行えるようになる。
今パーティの目前にブラフマがいる。真っ赤な閃光とともにヴェルグが斬りかかる。ザンクロウとイゼの剣戟がこれに呼応するかのように煌めく。
精霊たちは、魔法攻撃のほかに、戦士達のヒールも行っている。これまでの敵よりも数段強い相手である。しかし、カナン達の連携のとれた攻撃により数分後にはブラフマは倒れ、カナンは「鬼霊の魔火」を手にしていた。
「皆のおかげで、必要なアイテムを得ることができた。本当にありがとう。」
カナンは、うつむきながら旧友達にお礼の言葉をかけた。ほんの少しだが、カナンの頬を伝う涙を彼らは見て見ぬふりをして、仙幻の森から立ち去っていった。
☆転生
カナンは鬼霊の魔火を持ち、万界城のネスラードのもとにいた。戦いの経過を報告し、ネスラードに鬼霊の魔火を渡すと、ネスラードから転生が宣言された。
転生といっても身体そのものに劇的な変化はない。しかし今カナンは転生を果たし、魔界、仙界へ行く資格を得ることができたのだ。
儀式というには、あまりにも簡易に見えるものであるが、この世界に住む者にとって、新たな世界へ向かう手形を与えられる重要な営みなのである。
「では、まず魔界へ行ってみるか。新たなクエスト、冒険が待っているのであろう。楽しみなことだ」
そう呟くと、カナンは愛用の騎乗ウィンドパンサーにまたがり、魔界の門をくぐっていった。
カナンの旅はここで一段落です。しかし転生という節目により新たな展開を迎えることとなるかも知れません。(と思うけど、あんまり期待しないでねw)
by history-canaan
| 2010-05-20 21:04
| プレイ日記CANAAN